Scene #1


その頃には涼しくなってるよ。
ノースリーブのワンピースを体に滑らせながら
そんな会話を思い出す。










日差しは強くジリジリと地面を照らす。
手入れを怠った肌の日焼けを気にしながら日陰に入るも
露出した肌を蚊に食われる。

カメラを持っていると
いつもそわそわしてじっとしていられない。
カメラのせいだけじゃないけど。









時折吹く風に助けられながらガシガシと歩き目的地到着。
飛行場は今日も平和だ。
夏が悪あがきしてるみたいな雲が広がっていた。












ただひたすらにシャッターを切る。
知らぬ間に興奮で汗ばむ手。
撮ったばかりのそれを小さなモニターで確認しながら
また同じ様に構える。

一通り満足すると手を休め、その場に立ちつくしながら
目に映る瞬間を記憶する。
瞼を閉じると見える景色。
写真とは少し違う私の記憶。 










プロペラカフェの特等席。
イッキ飲みしたアイスラテ。












後ろの席ににこにことご機嫌そうな赤ちゃんがいた。
まだ歯の生えていない歯茎を見せてくにゃっと微笑みかけてくれる。
一体何がそんなに楽しいのか、こちらまで幸福な気持ちになる。
そして嬉しくて何度も振り返る私。

まだ馴れない向い合せ。












滑走路に突然登場した小さな小さなプロペラ機。
白髪交じりの見習いパイロットと
背筋を伸ばした若いインストラクターが降りてくる姿を眺める。

いつか乗ってみたいなぁ。
高い所苦手だけど。若干、白目剥いてると思うけど。
ひとりじゃ乗れないけど。











3000万のプロペラ機。
小型機はデザインもかっこいいモノが多い。
でもこんなの普段飛んでる所見た事ないなぁ。














空が広くてどこまでも続いてるって思える場所。