撮るモノも決めずカメラ片手にバスに乗る。
何か奇跡みたいな偶然に出逢えないかと期待しながら。
平日の公園は相変わらずパラパラと人が歩いてる。
大きなレンズを着けた一眼レフを抱えた人を横目に
僕も構えてる時はこんな風なのかな、
と想像しつつ舗装された公園の道を早足で歩く。
目的地はないのにいつも早足。
立ち止まり見上げると木々に覆われて小さくなった空。
風に揺れた枝からハラハラと葉が落ちては池の水面に吸い込まれていく。
時間が確かに流れている事を目の当りにして
ほんの少し嫌になる。
撮りたいモノがないや。
ポケットにしまったレンズの蓋に手を伸ばす。
すぐ横にある噴水を眺めながら小さく息を吐く。
まだ高い位置にある陽の光に照らされて迸る水滴が静かに輝いている。
定まらない視点で噴き出す水を見つめた。
目の前にある映像から記憶がふと甦る。
期待に反した想定外のハプニングと目的を失くして持て余す愛機。
まだ上手く掴めない互いの空気、カラカラになった喉に流し込むアイスラテ。
浮かんでは飲み込む言葉。
あの時、
探していた景色は程なく目の前に広がった。
それは小さな小さな奇跡だった。
僕は一瞬、誰かが味方してくれてるんじゃないかって
馬鹿みたいにそう思った。
定まらない視点で噴き出す水を見つめた。
目の前にある映像から記憶がふと甦る。
期待に反した想定外のハプニングと目的を失くして持て余す愛機。
まだ上手く掴めない互いの空気、カラカラになった喉に流し込むアイスラテ。
浮かんでは飲み込む言葉。
あの時、
探していた景色は程なく目の前に広がった。
それは小さな小さな奇跡だった。
僕は一瞬、誰かが味方してくれてるんじゃないかって
馬鹿みたいにそう思った。
「全てを裏切れる程 もう子供じゃないけど」
イヤホンから流れてくるフレーズが耳の中でリフレインする。
大きく深呼吸をして口の端をきゅっと持ち上げた。
『よし。』
僕は前に向き直り、また足早に歩き出した。
奇跡みたいな偶然を探す為に。
そんなある日。