皮膚の内側からぴりぴりと痺れるようなこのささやかな想いは、
告げることのないまま消えていく。たぶん。
そういう風に、どれだけのことを諦めてきたんだろう。
期待しないように、期待していないふりをして、何度だいじなものを手放したんだったっけ。
分かち合うことのないまま、なまえのない感情が破裂するのを眺めてる。そんな感じ。
まばたきしたら何か落としてしまいそうで、抗うように上を向いた。
ピントの合わない夜空は、まるでわたしを慰めるみたいに優しい。
傷付けられるなら、できるだけ深い傷がいい。
わたしが忘れずにいられればいい。
暗闇に放り投げた憂鬱な思考は、痛みを伴いながら弾けた。
目に見えるものがすべてなら、どれだけいいかと思う。
わたしの言葉が追いつくだけの、そんな狭いところで生きてたい。
あの人が聞いたらまた、子供だって笑うだろうけど。
こんな夜ですら、空腹がわたしをいじめる。
誤魔化すように唾を飲み込んで、幸福な記憶を食べながら、絶望と寄り添って生きていくよ。
( 発熱 )
Words:やまもとさん
Photo:6151