週末。街はいつも通り賑やかで道行く人が皆、笑顔に見える。
今自分はどんな表情で歩いているのかはあまり想像できない。
駅からの道をゆったりとした足取りで進む。
吸い込まれる様にいつもの店へと向かうと、
まだ意識のはっきりしない頭のままで気怠い身体をソファーに預けた。
夏は始まったばかりで、
いつかひっくり返した砂時計の砂はほんの少しずつ、でも確実に落ちているようだった。
全ての砂が落ちきるまでにあと何回、何十回、何百回と待ち受ける出来事を
想像しては臆病になる。
時間だけは誰にでも平等に流れる。
だからこそ、止められない時の流れにときどき救われている。
それでも。
無謀を希望に変えられたら。
誰かの人生は、もう少しロマンチックだったかもしれない。
充分、ロマンチックなのだけど。