Oneday #65

6151

週末。街はいつも通り賑やかで道行く人が皆、笑顔に見える。
今自分はどんな表情で歩いているのかはあまり想像できない。

駅からの道をゆったりとした足取りで進む。
吸い込まれる様にいつもの店へと向かうと、
まだ意識のはっきりしない頭のままで気怠い身体をソファーに預けた。

夏は始まったばかりで、
いつかひっくり返した砂時計の砂はほんの少しずつ、でも確実に落ちているようだった。
全ての砂が落ちきるまでにあと何回、何十回、何百回と待ち受ける出来事を
想像しては臆病になる。

時間だけは誰にでも平等に流れる。
だからこそ、止められない時の流れにときどき救われている。

それでも。

無謀を希望に変えられたら。
誰かの人生は、もう少しロマンチックだったかもしれない。

充分、ロマンチックなのだけど。


6151

中国では映日果と書くその実はここで無花果(イチジク)と呼ばれている。
柔らかく香るフィグの様にふわりと映し出された日々。

目を瞑ると選択を拒んできた未来が幾つもあるように思える。
それでも私達はいつも選ばれてここまできたはずだ。

俯き立ち止まっていても今には帰れないと知りながら。
望む昨日より望まれる今日を愛そう。



そんなある日。