座席に腰を下ろす人、つり革に摑まる人、
今日を楽しんだ人々で賑わう車内。
蒸した空気から一変、冷房の効いた空間に少しほっとする。
進行方向とは反対側、少しずつ遠ざかっていく景色を車窓から眺める。
ただでさえ少ない口数が更に減っていたのは
上手な言葉を探していたからかもしれない。
みつけた言葉はありきたりで私の口から放たれると
なんだか薄っぺらい。そんな気がした。
仕方なくいつも通り口を噤む。
そんな自分にうんざりして傾けた頭を正面の胸に預ける。
髪を撫でる手にぼんやりと心を持っていかれながら
耳元で聴く声はいつもより少し、甘い。
流れる景色と柔らかい感触。
ああ、今日が終わる。
結局、そんな事を考えてるうちに終着駅。
うん。