Moment #5



わたしの好きは、どれだけのことを壊してしまうんだろう。
喉の奥に言葉が詰まって、窒息してしまいそうだ。
伸びた影の、丁度心臓のあたりを踏みつけながら、彼がわたしをじっと見ている。
このまま死んでしまったら、幸せすぎて地獄の底へ落ちるに違いない。
踏んづけられた心臓が、どくどくと血液を送っている。
わたしは、この人が好きだ。
張り詰めた声帯は弱々しく震えるだけで、うまく鳴らない。
陽が落ちたら、わたしは一緒に消えてしまおう。


(きっと探してくださいね )

Words:やまもと
Photo:6151