Moment #3



皮膚の内側からぴりぴりと痺れるようなこのささやかな想いは、

告げることのないまま消えていく。たぶん。

そういう風に、どれだけのことを諦めてきたんだろう。

期待しないように、期待していないふりをして、何度だいじなものを手放したんだったっけ。

分かち合うことのないまま、なまえのない感情が破裂するのを眺めてる。そんな感じ。

まばたきしたら何か落としてしまいそうで、抗うように上を向いた。

ピントの合わない夜空は、まるでわたしを慰めるみたいに優しい。

傷付けられるなら、できるだけ深い傷がいい。

わたしが忘れずにいられればいい。

暗闇に放り投げた憂鬱な思考は、痛みを伴いながら弾けた。

目に見えるものがすべてなら、どれだけいいかと思う。

わたしの言葉が追いつくだけの、そんな狭いところで生きてたい。

あの人が聞いたらまた、子供だって笑うだろうけど。

こんな夜ですら、空腹がわたしをいじめる。

誤魔化すように唾を飲み込んで、幸福な記憶を食べながら、絶望と寄り添って生きていくよ。

( 発熱 )

Words:やまもとさん 
Photo:6151