Scene #25

冷たい指先が体温に溶けるまで
そう時間はかからなかった。


目指すべき場所への道程は思いの外短く感じる。
多分それもこれも辿り着いた今だから思う事かもしれない。

目に見えるカタチを探して
例えば目的は違えど同じモノを追い求める様な
そんな道を歩むのが理想的。

きっと楽しんでるのは到達よりも道程。
少し遠回りするくらいが丁度いい。

暖かな日和、空は淡い薄水色。
頭の片隅から聴こえる声に耳を塞ぐ。
ああ、いくつになっても私は賢くないなぁ。


昨日まで抱えていた不安は絡めた指先で
少しずつ解けていった。そう思っていた。


恐らくその一言が優し過ぎた。
きっとそうだったんだと思う。