Scene #12

いつもの街がこの時期になるととても華やかになる。
駅前は恒例のイルミネーションで煌びやかになるし
商店街にはクリスマスツリーが飾られる。

いつもと違う特別なムードはとても好きだし
別に何もないのにワクワクする。

寒いのは苦手で
冬は本当に冬眠してしまいたいくらい苦手というか嫌い。

だった。

よく「あなた色に染まりたい」とか「俺色に染めてやるよ」
なんて誰かが昔言っているのを耳にしたことがあるけど

誰の色にも染まりたくはないし
それが例え人生を共にするパートナーだとしても絶対嫌だし
こんな変な色に染まってもらうなんてもっと嫌だし

嫌と云うかきっとそんなのツマラナイ。
どうしてかは分からないけどそんな気がする。

お互いの色に染まる事はきっとないだろうって思った。

でもそれは投げやりな話なんかではなくて
一緒に互いの色を混ぜ合わせて新しい色を創るといった類の話。

変わらない事も変わる事もとても大事で
そんな風にいくつもの色に変化していく姿を見ていたいのだと思った。

あんなに嫌いだった冬が好きになれそうなのは
また新しい色を見つけられたからだ。

体温が溶け合うみたいに
混ざり合った彩りを沢山共有できたらいい。